ここでは、Visual Studio プロファイリング ツールのコマンド ライン ツールを使用して、実行中のスタンドアロンのネイティブ (クライアント) アプリケーションにプロファイラーをアタッチし、サンプリング メソッドを使用してパフォーマンスに関する統計情報を収集する方法について説明します。
注意
プロファイリング ツールのコマンド ライン ツールは、Visual Studio インストール ディレクトリの \Team Tools\Performance Tools サブディレクトリにあります。 64 ビット コンピューター上では、64 ビット バージョンのツールと 32 ビット バージョンのツールの両方を使用できます。 プロファイラー コマンド ライン ツールを使用するには、コマンド プロンプト ウィンドウの PATH 環境変数にツールのパスを追加するか、コマンド自体にそれを追加します。 詳細については、「プロファイル ツールのコマンド ライン ツールへのパスの指定」を参照してください。
プロファイラーをアプリケーションにアタッチしているときにデータ収集を一時停止し、完了後に再開できます。 プロファイル セッションを終了するには、アプリケーションへのプロファイラーのアタッチを解除し、プロファイラーを明示的に終了する必要があります。
プロファイラーのアタッチ
プロファイラーを対象のアプリケーションにアタッチするには、VSPerfCmd の /start オプションおよび /attach オプションを使用して、プロファイラーを初期化し、対象のアプリケーションにアタッチします。 /start と /attach、およびそれぞれのオプションは、同じコマンド ライン上に指定できます。 /globaloff オプションを追加して、対象アプリケーションの起動時にデータ収集を一時停止することもできます。 その後、/globalon を使用してデータの収集を開始します。
プロファイラーを実行中の .NET アプリケーションにアタッチするには
コマンド プロンプト ウィンドウを開きます。
プロファイラーを起動します。 次のように入力します。
**VSPerfCmd /start:sample /output:**OutputFile [Options]
/start:sample オプションによってプロファイラーが初期化されます。
/start を使用する場合は /output**:**OutputFile オプションを指定する必要があります。 OutputFile には、プロファイル データ (.vsp) ファイルの名前と場所を指定します。
/start:sample オプションを使用する場合は、次のうちいずれかのオプションを指定できます。
オプション
説明
/user:[Domain\]UserName
プロファイリングされたプロセスを所有するアカウントのドメインおよびユーザー名を指定します。 このオプションは、ログオンしているユーザーとは別のユーザーがプロセスを実行している場合にのみ指定する必要があります。 プロセスの所有者は、Windows タスク マネージャーの [プロセス] タブの [ユーザー名] 列に表示されます。
他のセッションにおけるプロセスのプロファイリングを有効にします。 このオプションは、ASP.NET アプリケーションが別のセッションで実行されている場合に必要です。 セッション ID は、Windows タスク マネージャーの [プロセス] タブの [セッション ID] 列に表示されます。 /crosssession の省略形として、/CS を指定することができます。
/wincounter:WinCounterPath
プロファイリング実行中に収集する Windows パフォーマンス カウンターを指定します。
/automark:Interval
/wincounter と共にのみ使用します。 Windows パフォーマンス カウンター収集イベントの間隔をミリ秒単位で指定します。 既定値は 500 ミリ秒です。
/events:Config
プロファイリング実行中に収集する ETW (Event Tracing for Windows) イベントを指定します。 ETW イベントは独立した (.etl) ファイルに収集されます。
プロファイラーを対象のアプリケーションにアタッチします。 次のように入力します。
VSPerfCmd /attach:{PID|ProcName} [Sample Event]
PID には、対象アプリケーションのプロセス ID を指定します。 ProcessName には、プロセスの名前を指定します。 ProcessName を指定して、同じ名前の複数のプロセスが実行中である場合、結果は予測できません。 Windows タスク マネージャーで、実行中のすべてのプロセスのプロセス ID を参照できます。
既定では、パフォーマンス データはプロセッサのクロック サイクル数 10,000,000 (停止なし) ごとにサンプリングされます。 このため、1 GHz のプロセッサにおける 1 秒あたりのサンプリング回数は約 100 回です。 次のオプションのいずれかを指定して、クロック サイクルの間隔の変更、または別のサンプリング イベントの指定ができます。
サンプリング イベント
説明
/timer:Interval
サンプリングの間隔を、Interval で指定された停止なしのクロック サイクル数に変更します。
/pf[:Interval]
サンプリング イベントをページ フォールトに変更します。 Interval を指定した場合は、サンプル間のページ フォールト数が設定されます。 既定値は 10 です。
/sys [:Interval]
サンプリング イベントを、プロセスからオペレーティング システムのカーネルへのシステム コール (syscall) に変更します。 Interval を指定した場合は、サンプル間の呼び出し回数が設定されます。 既定値は 10 です。
/counter:Config
サンプリング イベントと間隔を、プロセッサのパフォーマンス カウンターと、Config で指定した間隔に、それぞれ変更します。
データ収集の制御
対象アプリケーションの実行中に、VSPerfCmd.exe のオプションを使用して、プロファイラー データ ファイルへのデータの書き込みを開始および停止できます。 データ収集を制御することにより、アプリケーションの起動や終了など、プログラム実行の特定の部分についてのデータ収集を行うことができます。
データ収集を開始および停止するには
次に示す VSPerfCmd のオプションの組み合わせにより、データ収集を開始および停止します。 個別のコマンド ラインで各オプションを指定します。 データ収集のオンとオフは複数回切り替えることができます。
オプション
説明
すべてのプロセスのデータ収集を開始 (/globalon) または停止 (/globaloff) します。
/processon:PID /processoff:PID
PID で指定されたプロセスのデータ収集を開始 (/processon) または停止 (/processoff) します。
/attach は、PID で指定されたプロセスのデータ収集を開始します。 /detach は、すべてのプロセスのデータ収集を停止します。
VSPerfCmd.exe /mark オプションを使用して、データ ファイルにプロファイル マークを挿入することもできます。 /mark コマンドは、ID、タイム スタンプ、およびオプションのユーザー定義文字列を追加します。 マークは、プロファイラー レポートおよびデータ ビューでデータをフィルター処理するために使用できます。
プロファイル セッションの終了
プロファイル セッションを終了するには、プロファイラーをプロファイリング対象のすべてのプロセスからデタッチし、プロファイラーを明示的に終了する必要があります。 サンプリング メソッドを使用してプロファイリングを実行したアプリケーションからプロファイラーをデタッチするには、アプリケーションを終了するか、VSPerfCmd /detach オプションを呼び出します。 次に、VSPerfCmd /shutdown オプションを呼び出して、プロファイラーをオフにし、プロファイル データ ファイルを閉じます。 VSPerfClrEnv /off コマンドで、プロファイル環境変数を消去します。
プロファイル セッションを終了するには
対象アプリケーションからプロファイラーをデタッチするには、次のいずれかの手順を実行します。
「VSPerfCmd /detach」と入力します。
または
対象アプリケーションを終了します。
プロファイラーをシャットダウンします。 次のように入力します。
VSPerfCmd /shutdown
(省略可能) プロファイル環境変数を削除します。 次のように入力します。
VSPerfClrEnv /off