ここでは、Visual Studio プロファイリング ツールのコマンド ライン ツールを使用して、.NET Framework のスタンドアロン (クライアント) アプリケーションを起動し、メモリ データを収集する方法について説明します。
プロファイル セッションは、次の 3 つの部分で構成されます。
プロファイラーによるアプリケーションの起動
プロファイル データの収集
プロファイル セッションの終了
注意
プロファイリング ツールのコマンド ライン ツールは、Visual Studio インストール ディレクトリの \Team Tools\Performance Tools サブディレクトリにあります。 64 ビット コンピューター上では、64 ビット バージョンのツールと 32 ビット バージョンのツールの両方を使用できます。 プロファイラー コマンド ライン ツールを使用するには、コマンド プロンプト ウィンドウの PATH 環境変数にツールのパスを追加するか、コマンド自体にそれを追加します。 詳細については、「プロファイル ツールのコマンド ライン ツールへのパスの指定」を参照してください。
プロファイラーによるアプリケーションの起動
プロファイラーを使用して対象アプリケーションを起動するには、VSPerfCmd.exe /start オプションと /launch オプションを使用して、プロファイラーを初期化し、アプリケーションを起動します。 /start と /launch、およびそれぞれのオプションは、1 つのコマンド ラインで指定できます。
/globaloff オプションを追加して、対象アプリケーションの起動時にデータ収集を一時停止することもできます。 その後、/globalon を使用してデータの収集を開始します。
プロファイラーを使用してアプリケーションを起動するには
コマンド プロンプト ウィンドウを開きます。
プロファイラーを起動します。 次のように入力します。
**VSPerfCmd /start:sample /output:**OutputFile [Options]
/start:sample オプションによってプロファイラーが初期化されます。
/start を使用する場合は /output**:**OutputFile オプションを指定する必要があります。 OutputFile には、プロファイル データ (.vsp) ファイルの名前と場所を指定します。
/start:sample オプションを使用する場合は、次のうちいずれかのオプションを指定できます。
オプション
説明
/wincounter:WinCounterPath
プロファイリング実行中に収集する Windows パフォーマンス カウンターを指定します。
/automark:Interval
/wincounter と共にのみ使用します。 Windows パフォーマンス カウンター コレクション イベントの間隔をミリ秒単位で指定します。 既定値は 500 ミリ秒です。
対象アプリケーションを起動します。 次のように入力します。
VSPerfCmd /launch**:**appName /gc:{allocation|lifetime}[Options]
.NET Framework メモリ データを収集する場合は、/gc**:**Keyword オプションを指定する必要があります。 キーワード パラメーターは、メモリの割り当てデータを収集するか、メモリの割り当てデータとオブジェクトの有効期間データの両方を収集するかを指定します。
キーワード
説明
allocation
メモリの割り当てデータのみを収集します。
lifetime
.NET メモリの割り当てデータとオブジェクトの有効期間データの両方を収集します。
/launch オプションを使用する場合は、次のうちいずれかのオプションを指定できます。
オプション
説明
/args:Arguments
対象アプリケーションへ渡されるコマンド ライン引数を格納する文字列を指定します。
対象のコマンド ライン アプリケーションを別のウィンドウで起動でします。
/events:Config
プロファイリング実行中に収集する ETW (Event Tracing for Windows) イベントを指定します。 ETW イベントは独立した (.etl) ファイルに収集されます。
/targetclr:Version
アプリケーションに複数バージョンのランタイムが読み込まれている場合に、プロファイリングを行う共通言語ランタイム (CLR: Common Language Runtime) のバージョンを指定します。
データ収集の制御
対象アプリケーションの実行中は、VSPerfCmd.exe のオプションを使用してファイルへのデータ書き込みを開始および停止することにより、データ収集を制御できます。 データ収集を制御することにより、アプリケーションの起動や終了など、プログラム実行の特定の部分についてのデータ収集を行うことができます。
データ収集を開始および停止するには
次に示すオプションの組み合わせにより、データ収集を開始および停止します。 個別のコマンド ラインで各オプションを指定します。 データ収集のオンとオフは複数回切り替えることができます。
オプション
説明
すべてのプロセスのデータ収集を開始 (/globalon) または停止 (/globaloff) します。
/processon:PID processoff:PID
プロセス ID (PID) で指定されたプロセスのデータ収集を開始 (/processon) または停止 (/processoff) します。
/attach は、PID (プロセス ID) で指定されたプロセスのデータ収集を開始します。 /detach は、すべてのプロセスのデータ収集を停止します。
VSPerfCmd.exe /mark オプションを使用して、データ ファイルにプロファイル マークを挿入することもできます。 /mark コマンドは、ID、タイム スタンプ、およびオプションのユーザー定義文字列を追加します。 マークは、データをフィルター処理するために使用できます。
プロファイル セッションの終了
プロファイル セッションを終了するには、プロファイラーをプロファイリング対象のすべてのプロセスからデタッチし、プロファイラーを明示的に終了する必要があります。 サンプリング メソッドを使用してプロファイリングを実行したアプリケーションからプロファイラーをデタッチするには、アプリケーションを終了するか、VSPerfCmd /detach オプションを呼び出します。 次に、VSPerfCmd /shutdown オプションを呼び出して、プロファイラーをオフにし、プロファイル データ ファイルを閉じます。 VSPerfClrEnv /off コマンドで、プロファイル環境変数を消去します。
プロファイル セッションを終了するには
対象アプリケーションからプロファイラーをデタッチするには、次のいずれかの手順を実行します。
対象アプリケーションを終了します。
または
「VSPerfCmd /detach」と入力します。
プロファイラーをシャットダウンします。 次のように入力します。
VSPerfCmd /shutdown