[WALKTHROUGH] 基本的なマネージコードフォームテンプレートを作成する方法

2010-04-27

Microsoft Office InfoPath 2003 を使用してマネージコード言語 (Visual Basic または C#) でビジネスロジックを作成する場合は、Microsoft Visual Studio .NET 2003 と Microsoft Office InfoPath 2003 Toolkit for Visual Studio .NET か、または Visual Studio 2005 Tools for the Microsoft Office System と Microsoft Office InfoPath 2003 Toolkit for Visual Studio 2005 で作成された InfoPath プロジェクトを使用します。この両方のマネージコード開発環境は、Microsoft.Office.Interop.InfoPath.SemiTrust アセンブリによって提供される COM Interop マネージコードオブジェクトモデルに依存し、それだけをサポートしています。

Microsoft Office InfoPath 2007 の場合は、Visual Basic または C# でビジネスロジックを書くことができます。これを実行するには、フォームテンプレートをデザインモードで開き、いずれかのユーザーインターフェイスコマンドを使用してイベントハンドラを追加します。これにより、コードを書くための Microsoft Visual Studio Tools for Applications (VSTA) 開発環境が開きます。既定では、VSTA を使用して作成したフォームテンプレートプロジェクトは、Microsoft.Office.InfoPath アセンブリによって提供される新しいマネージコードオブジェクトモデルに対して動作します。

または、Visual Studio 2005 に Microsoft Visual Studio 2005 Tools for the 2007 Microsoft Office System または Visual Studio 2008 と Visual Studio Tools for Office がインストールされている場合は、Visual Studio から開始し、InfoPath フォームテンプレートプロジェクトを作成し、InfoPath デザインモードを使用することで、フォームのデザインとビジネスロジックの追加をすべて Visual Studio 環境で実行できます。

最初のチュートリアルでは、VSTA および Visual Studio 開発環境で C# または Visual Basic を使用して、単純な Hello World アプリケーションを作成する方法を示します。チュートリアルの最後には、System.Environment.UserName を正しく使用して現在のユーザー名を取得し、[テキストボックス] コントロールにその値を入力する方法を示すコードサンプルがあります。

必要条件

VSTA 開発環境を使用してこのチュートリアルを完了するには、以下が必要です。

Microsoft Visual Studio Tools for Applications (VSTA) がインストールされた Microsoft Office InfoPath 2007。

Visual Studio 開発環境に統合された InfoPath デザインモードを使用してこのチュートリアルを完了するには、以下が必要です。

Microsoft Office InfoPath 2007
Microsoft Visual Studio 2005 と Microsoft Visual Studio 2005 Tools for the 2007 Microsoft Office System または Visual Studio 2008 と Visual Studio Tools for Office

メモ :
Microsoft Visual Studio 2005 Tools for the 2007 Microsoft Office System のダウンロードとインストールについては、「InfoPath 開発者ポータル」を参照してください。

VSTA での Hello World

以下のチュートリアルでは、ButtonEvent クラスの Clicked イベントのイベントハンドラを書くことによって、[ボタン] コントロールに関連付けられた単純な警告ダイアログボックスを表示する方法を学びます。この手順では、Microsoft Visual Studio Tools for Applications (VSTA) 開発環境を使用していることを前提としています。

新しいプロジェクトを作成してプログラミング言語 (Visual Studio Tools for Applications) を指定する

InfoPath を起動します。

[フォームの入力] ダイアログボックスで、[フォームのデザイン] の [フォームテンプレートのデザイン] をクリックします。

メモ :
InfoPath が既に実行されている場合に [フォームテンプレートのデザイン] ダイアログボックスを表示するには、[ファイル] メニューの [フォームテンプレートのデザイン] をクリックします。

[フォームテンプレートのデザイン] ダイアログボックス内で [フォームテンプレート] をクリックし、[空白] をクリックして、[ブラウザ互換の機能のみを有効にする] チェックボックスをオフにして、[OK] をクリックします。
[ツール] メニューの [フォームのオプション] をクリックします。
[カテゴリ] リストの [プログラミング] をクリックし、[フォームテンプレートのコード言語] ドロップダウンリストから [Visual Basic] または [C#] を選択して [OK] をクリックします。

これで、[ボタン] コントロールを追加して、イベントハンドラを作成できます。

ボタンコントロールとイベントハンドラを追加する

[デザインタスク] 作業ウィンドウの [コントロール] をクリックします。
[ボタン] コントロールをフォーム上にドラッグします。
[ボタン] コントロールをダブルクリックして "ラベル" プロパティに「Hello」と入力し、[フォームのコードを編集] をクリックします。プロンプトが表示されたら、フォームに HelloWorld という名前を付けて保存します。

これにより、[ボタン] コントロールの Clicked イベントのイベントハンドラにカーソルが置かれた状態で [Visual Studio Tools for Applications] 環境が開きます。

これでボタンのイベントハンドラにフォームコードを追加する準備ができました。

イベントハンドラに "Hello World" コードを追加してフォームをプレビューする

イベントハンドラスケルトンに次のように入力します。

MessageBox.Show("Hello World!");

MessageBox.Show("Hello World!")

フォームテンプレートのコードは次のようになります。

using Microsoft.Office.InfoPath;
using System;
using System.Windows.Forms;
using System.Xml;
using System.Xml.XPath;

namespace HelloWorld
{
   public partial class FormCode
   {
      public void InternalStartup()
      {
         ((ButtonEvent)EventManager.ControlEvents["CTRL1_5"]).Clicked += new ClickedEventHandler(CTRL1_5_Clicked);
      }

      public void CTRL1_5_Clicked(object sender, ClickedEventArgs e)
      {
         MessageBox.Show("Hello World!");
      }
   }
}

Imports Microsoft.Office.InfoPath
Imports System
Imports System.Windows.Forms
Imports System.Xml
Imports System.Xml.XPath

Namespace HelloWorld
   Public Class FormCode
      Private Sub InternalStartup(ByVal sender As Object, ByVal e As EventArgs) Handles Me.Startup
         AddHandler DirectCast(EventManager.ControlEvents("CTRL1_5"), ButtonEvent).Clicked, AddressOf CTRL1_5_Clicked
      End Sub

      Public Sub CTRL1_5_Clicked(ByVal sender As Object, ByVal e As ClickedEventArgs)
         MessageBox.Show("Hello World!")
      End Sub
   End Class
End Namespace

InfoPath デザインモードウィンドウに切り替えます。
[基本コントロール] ツールバーの [プレビュー] ボタンをクリックします。
[Hello] ボタンをクリックします。

"Hello World!" という内容のメッセージボックスが表示されます。

次の手順は、フォームコードにデバッグ用のブレークポイントを追加する方法を示しています。

フォームコードをデバッグする

VSTA ウィンドウに戻ります。
行の左にあるグレーのバーをクリックします。
```
MessageBox.Show("Hello World!");
```
```
MessageBox.Show("Hello World!")
```
赤い円が表示され、コード行が強調表示されます。これは、ランタイムがフォームコードのこのブレークポイントで一時停止することを表しています。
[デバッグ] メニューの [デバッグ開始] をクリックします (または F5 キーを押します)。
InfoPath の [プレビュー] ウィンドウで [Hello] ボタンをクリックします。
VSTA コードエディタにフォーカスが移り、ブレークポイント行が強調表示されます。
[デバッグ] メニューで [ステップオーバー] をクリックするか、または F10 キーを押して、コード内を順に移動します。
イベントハンドラコードが実行され、"Hello World!" メッセージが表示されます。
[OK] をクリックして VSTA コードエディタに戻り、[デバッグ] メニューの [デバッグの停止] をクリックするか、または Ctrl + Alt + Break を押します。

Visual Studio に統合された InfoPath デザインモードでの Hello World

以下の手順では、同じ Hello World コードを、Microsoft Visual Studio 2005 Tools for the 2007 Microsoft Office System または Visual Studio 2008 と Visual Studio Tools for Office をインストールすることによって、Visual Studio 2005 に統合された InfoPath デザインモードを有効にして作成する方法を示します。

新しいプロジェクトを作成してプログラミング言語 (Visual Studio) を指定する

Visual Studio を起動します。
[ファイル] メニューの [新規作成] をポイントし、[プロジェクト] をクリックします。
[プロジェクト] の種類で [Visual C#] フォルダを展開し、[Office] をクリックして (Visual Studio 2008 ではさらに [2007] をクリックします)[InfoPath フォームテンプレート] をクリックします。

または、[他の言語] フォルダを展開して [Visual Basic] フォルダを展開し、[Office] をクリックして (Visual Studio 2008 ではさらに [2007] をクリックします)[InfoPath フォームテンプレート] をクリックします。
プロジェクトの名前を HelloWorld にして、[OK] をクリックします。
[フォームテンプレートのデザイン] ダイアログボックス内で [フォームテンプレート] をクリックし、[空白] をクリックして、[OK] をクリックします。

[manifest.xsf [Design]] というタブに、統合された InfoPath フォームテンプレートデザインウィンドウが表示されます。

これで、[ボタン] コントロールを追加して、イベントハンドラを作成できます。

ボタンコントロールとイベントハンドラを追加する

[デザインタスク] 作業ウィンドウの [コントロール] をクリックします。

メモ :
[デザインタスク] 作業ウィンドウが表示されていない場合は、[表示] メニューの [デザインタスク] をクリックします。

[ボタン] コントロールを [ツールボックス] からフォーム上にドラッグします。
[ボタン] コントロールをダブルクリックして "ラベル" プロパティに「Hello」と入力し、[フォームのコードを編集] をクリックします。プロンプトが表示されたら、フォームを保存します。

これにより、[ボタン] コントロールの Clicked イベントのイベントハンドラにカーソルが置かれた状態でコードエディタウィンドウが開きます。

これでボタンのイベントハンドラにフォームコードを追加する準備ができました。

イベントハンドラに "Hello World" コードを追加してフォームをプレビューする

イベントハンドラスケルトンに次のように入力します。

MessageBox.Show("Hello World!");

MessageBox.Show("Hello World!")

フォームテンプレートのコードは次のようになります。

using Microsoft.Office.InfoPath;
using System;
using System.Windows.Forms;
using System.Xml;
using System.Xml.XPath;

namespace HelloWorld
{
   public partial class FormCode
   {
      public void InternalStartup()
      {
         ((ButtonEvent)EventManager.ControlEvents["CTRL1_5"]).Clicked += new ClickedEventHandler(CTRL1_5_Clicked);
      }

      public void CTRL1_5_Clicked(object sender, ClickedEventArgs e)
      {
         MessageBox.Show("Hello World!");
      }
   }
}

Imports Microsoft.Office.InfoPath
Imports System
Imports System.Windows.Forms
Imports System.Xml
Imports System.Xml.XPath

Namespace HelloWorld
   Public Class FormCode
      Private Sub InternalStartup(ByVal sender As Object, ByVal e As EventArgs) Handles Me.Startup
         AddHandler DirectCast(EventManager.ControlEvents("CTRL1_5"), ButtonEvent).Clicked, AddressOf CTRL1_5_Clicked
      End Sub

      Public Sub CTRL1_5_Clicked(ByVal sender As Object, ByVal e As ClickedEventArgs)
         MessageBox.Show("Hello World!")
      End Sub
   End Class
End Namespace

[デバッグ] メニューの [デバッグ開始] をクリックします (または F5 キーを押します)。

InfoPath の [プレビュー] ウィンドウが表示されます。
[Hello] ボタンをクリックします。

"Hello World!" という内容のメッセージボックスが表示されます。
[OK] をクリックし、[基本コントロール] ツールバーの [プレビューを閉じる] ボタンをクリックして、Visual Studio に戻ります。

次の手順は、フォームコードにデバッグ用のブレークポイントを追加する方法を示しています。

フォームコードをデバッグする

[FormCode.cs] タブまたは [FormCode.vb] タブをクリックして、コードエディタに戻ります。
行の左にあるグレーのバーをクリックします。
```
MessageBox.Show("Hello World!");
```
```
MessageBox.Show("Hello World!")
```
赤い円が表示され、コード行が強調表示されます。これは、ランタイムがフォームコードのこのブレークポイントで一時停止することを表しています。
[デバッグ] メニューの [デバッグ開始] をクリックします (または F5 キーを押します)。
InfoPath の [プレビュー] ウィンドウで [Hello] ボタンをクリックします。
コードエディタにフォーカスが移り、ブレークポイント行が強調表示されます。
[デバッグ] メニューで [ステップオーバー] をクリックするか、または F10 キーを押して、コード内を順に移動します。
イベントハンドラコードが実行され、"Hello World!" メッセージが表示されます。
[OK] をクリックしてコードエディタに戻り、[デバッグ] メニューの [デバッグの停止] をクリックするか、または Ctrl + Alt + Break を押します。

現在のユーザーの名前を取得する

.NET Framework クラスを使用することで、スクリプトで書いたビジネスロジックで作業する際には使用が困難な、追加の機能にアクセスすることができます。次の例では、Environment クラスの UserName プロパティを使用して現在のユーザーの名前を取得し、Loading イベントのイベントハンドラを使用して、[テキストボックス] コントロールの値を挿入する方法を学びます。

[テキストボックス] コントロールに値を挿入するには、XPathNavigator クラスの 2 つのインスタンスを使用します。

最初のインスタンスは、XmlForm クラスの MainDataSource プロパティを使用して、フォームの基盤となる XML ドキュメントを表現する DataSource クラスのインスタンスを取得します。この DataSource クラスのインスタンスは、CreateNavigator メソッドを使用して、XPathNavigator を XML ドキュメントのルートノードに置きます。

XPathNavigator の 2 番目のインスタンスは、最初のインスタンスを使用して XML ドキュメントの employee フィールドに置かれ、その後 XPathNavigator クラスの SetValue メソッドによって、フィールドの値が UserName プロパティで設定されます。

マネージコードフォームテンプレートでの System.Xml の作業の詳細については、「[方法] XPathNavigator クラスおよび XPathNodeIterator クラスを操作する方法」を参照してください。

Loading イベントハンドラを追加する

前の手順で作成した HelloWorld プロジェクトを開きます。

InfoPath と Microsoft Visual Studio Tools for Applications (VSTA) を使用している場合は、InfoPath を起動して、InfoPath のデザインモードでフォームを開きます。Visual Studio 2005 と Microsoft Visual Studio 2005 Tools for the 2007 Microsoft Office System または Visual Studio 2008 と Visual Studio Tools for Office を使用している場合は、Visual Studio を起動してプロジェクトを開きます。
[表示] メニューの [データソース] をクリックします。
[マイフィールド] フォルダを右クリックして [追加] をクリックします。
[名前] ボックスに「employee」と入力して [OK] をクリックします。
employee フィールドをビューにドラッグします。
InfoPath で作業している場合は、[ツール] メニューの [プログラミング] をクリックし、[Loading イベント] をクリックします。

Visual Studio で作業している場合は、[挿入] メニューの [イベント] をクリックし、[Loading イベント] をクリックします。

これにより Loading イベントのイベントハンドラが作成され、コードエディタのフォーカスがそのイベントハンドラに移動します。

コードエディタで、以下のように入力します。

public void FormEvents_Loading(object sender, LoadingEventArgs e)
{
   System.Xml.XPath.XPathNavigator root, user;
   root = this.MainDataSource.CreateNavigator();
   user = root.SelectSingleNode("//my:employee", this.NamespaceManager);
   user.SetValue(System.Environment.UserName);
}

Public Sub FormEvents_Loading(ByVal sender As Object, ByVal e As LoadingEventArgs)
   Dim root, user As System.Xml.XPath.XPathNavigator
   root = Me.MainDataSource.CreateNavigator
   user = root.SelectSingleNode("//my:employee", Me.NamespaceManager)
   user.SetValue(System.Environment.UserName)
End Sub

Microsoft Visual Studio Tools for Applications (VSTA) で作業している場合は、InfoPath フォームデザインウィンドウに切り替え、[プレビュー] ボタンをクリックしてフォームをプレビューします。

Visual Studio で作業している場合は、[デバッグ] メニューの [デバッグ開始] をクリックするかまたは F5 キーを押して、フォームをプレビューします。

次の手順

他のコントロールとイベントのイベントハンドラの作業については、「[方法] イベントハンドラを追加する方法」を参照してください。
フォームテンプレート内でのコードのプレビューとデバッグについては、「[方法] InfoPath マネージコードフォームテンプレートをプレビューおよびデバッグする方法」を参照してください。
マネージコードフォームテンプレートを展開する方法については、「[方法] InfoPath プロジェクトを展開する方法」を参照してください。
マネージコードフォームテンプレートの InfoPath オブジェクトモデルと一般的なプログラミングタスクについては、「InfoPath オブジェクトモデルと一般的な開発タスクについて」を参照してください。

次の方法で共有

[WALKTHROUGH] 基本的なマネージ コード フォーム テンプレートを作成する方法

必要条件

VSTA での Hello World

新しいプロジェクトを作成してプログラミング言語 (Visual Studio Tools for Applications) を指定する

ボタン コントロールとイベント ハンドラを追加する

イベント ハンドラに "Hello World" コードを追加してフォームをプレビューする

フォーム コードをデバッグする

Visual Studio に統合された InfoPath デザイン モードでの Hello World

新しいプロジェクトを作成してプログラミング言語 (Visual Studio) を指定する

ボタン コントロールとイベント ハンドラを追加する

イベント ハンドラに "Hello World" コードを追加してフォームをプレビューする

フォーム コードをデバッグする

現在のユーザーの名前を取得する

Loading イベント ハンドラを追加する

次の手順

関連項目

参照

その他のリソース

[WALKTHROUGH] 基本的なマネージコードフォームテンプレートを作成する方法

ボタンコントロールとイベントハンドラを追加する

イベントハンドラに "Hello World" コードを追加してフォームをプレビューする

フォームコードをデバッグする

Visual Studio に統合された InfoPath デザインモードでの Hello World

ボタンコントロールとイベントハンドラを追加する

イベントハンドラに "Hello World" コードを追加してフォームをプレビューする

フォームコードをデバッグする

Loading イベントハンドラを追加する