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プログラム管理オフィスでのアジャイル チーム進行状況の可視化

アジャイル開発チームは、Visual Studio Team Foundation Server でユーザー ストーリーとタスクを管理しますが、プロジェクト マネージャーは、Project Server を使用して作業の進行状況とリソース配分状況を参照できます。 プロジェクト マネージャーとプロジェクト管理オフィス (PMO) は、スケジュール、ユーザー ストーリーの進行状況、およびリソースのロールアップを参照できます。 一方、開発チームのメンバーは、Team Foundation で作業を定義、計画、および更新できます。 Visual Studio Team Foundation Server 2010 と Project Server の同期エンジンは、マップされたエンタープライズ プロジェクト計画とチーム プロジェクトに、ユーザー ストーリーのスケジュール データとリソース配分状況を保持します。

アジャイル チームの進行状況を参照するには、エンタープライズ プロジェクト計画をチーム プロジェクトに関連付けておく必要があります。 詳細については、「エンタープライズ プロジェクトとチーム プロジェクトの関連付けの管理」を参照してください。 計画をプロジェクトに関連付ける前に、このトピックで後述する「アジャイル開発と PMO 可視性をサポートするための推奨構成」を確認してください。

注意

このトピックで説明するプロセスとアクティビティでは、Team Foundation Server 2010 の配置が Office Project Server 2007 Service Pack 2 (SP2) または Project Server 2010 と統合するように構成されていることが必要となります。 詳細については、「Team Foundation Server と Project Server の統合の構成」を参照してください。

このトピックの内容

  • アジャイル開発と PMO 可視性のプロセス概要

  • アジャイル開発と PMO 可視性をサポートするための推奨構成

  • アジャイル開発チームのタスクとベスト プラクティス

  • PMO のタスクとベスト プラクティス

必要なアクセス許可

このトピックの各手順を実行するには、次のアクセス許可を割り当てる必要があります。

  • エンタープライズ プロジェクト計画のタスクを Team Foundation に発行するには、Team Foundation ユーザーがチーム プロジェクトの共同作成者グループのメンバーである必要があります。

  • Team Foundation の作業項目を更新し、Project Server に送信するには、Team Foundation ユーザーが Project Web Access または Project Web App (PWA) のチーム メンバー グループのメンバーであるか、[プロジェクト] で、[プロジェクトを開く] および [プロジェクト サイトの表示] アクセス許可が付与されている必要があります。 また、これらのユーザーを Project Server のエンタープライズ リソース共有元およびエンタープライズ プロジェクト計画のリソース共有元に追加する必要があります。

詳細については、「Team Foundation Server と Project Server を統合するために必要なアクセス許可の割り当て」を参照してください。

アジャイル開発と PMO 可視性のプロセス概要

次の図に示すように、チーム リーダーは、Team Foundation Server でユーザー ストーリーとタスクを計画することでプロセスを開始します。 同期エンジンは、Project Server に送信される各ユーザー ストーリーのステータス更新を作成します。 プロジェクト マネージャーがエンタープライズ プロジェクト計画の自動承認を有効にしているため、Project Server は Team Foundation で行われた変更を適用して計画を自動的に更新します。 プロジェクト マネージャーは、新しいユーザー ストーリーを実装するための計画を確認し、プロジェクト計画の進行状況を追跡できます。

PS-TFS アジャイル ワークフロー プロセス

Team Foundation では、各ユーザー ストーリーにリンクされたタスクに基づいて、リソースごとに残存作業と実績作業のロールアップが自動的に計算されます。 チーム メンバーがタスクを更新すると、マップされたプロジェクト計画で、ユーザー ストーリーのロールアップ値が自動的に更新されます。 プロジェクト マネージャーは、エンタープライズ プロジェクト計画のリソース共有元だけでなく、Project Server のエンタープライズ リソース共有元にもチーム メンバーを追加する必要があります。

次の表に、実行されるタスクの概要を示します。

チーム リーダー

Team Foundation で、チーム リーダーとチーム メンバーは次のアクティビティを実行します。

手順 1. Team Foundation でユーザー ストーリーとタスクを定義し、イテレーション バックログ ブックを使用してイテレーションを計画します。 イテレーション バックログ ブックの [キャパシティ] ワークシートを使用して、チーム メンバーに割り当てられた作業のバランスを取ります。

手順 2.    製品バックログ ブックを使用して、実装するユーザー ストーリーの "Project Server に送信" のステータスを設定します。

手順 3.    作業の進行状況に応じて、個々の作業項目またはイテレーション バックログ ブックを使用して、各タスクの "残存作業""実績作業" を更新します。

同期エンジン

手順 4.    Project Server に送信されるユーザー ストーリーごとに、発行された各ユーザー ストーリーのマップされた各フィールドに対して Team Foundation で変更が発生すると、同期エンジンはステータス更新を作成します。

すべてのステータス更新を自動的に承認する規則を設定した場合、Team Foundation で変更が発生すると、Project Server はエンタープライズ プロジェクト計画を自動的に更新します。 それ以外の場合は、ステータス更新は、プロジェクト マネージャーが確認できるように承認キューに配置されます。

プロジェクト マネージャー

PMO のメンバーは、Project Professional または PWA のインスタンスで次のタスクを実行できます。

手順 6.    実装中のユーザー ストーリーのスケジュールを参照し、プロジェクト計画で定義されているイテレーションにユーザー ストーリーを移動します。

手順 7.    ユーザー ストーリーの進行状況を追跡し、自分または PMO が管理するプロジェクトのポートフォリオと比較して進行状況を確認します。

手順 5.    各リソースに割り当てられた作業負荷を確認します。

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アジャイル開発と PMO 可視性をサポートするための推奨構成

前のセクションで説明したプロセスをサポートするには、エンタープライズ プロジェクト計画をチーム プロジェクトにマップする必要があります。 次の表に、エンタープライズ プロジェクト計画とチーム プロジェクトの推奨構成を示します。 詳細については、「エンタープライズ プロジェクトとチーム プロジェクトの関連付けの管理」を参照してください。

構成する領域

推奨構成

メモ

チーム プロジェクトのプロセス テンプレート

Microsoft Solutions Framework (MSF) for Agile Software Development v5.0

アジャイル プロセス テンプレートには、作業項目の種類としてユーザー ストーリーとタスクが含まれています。 また、イテレーション バックログ ブックと製品バックログ ブックも用意されています。これらのブックを使用すると、ユーザー ストーリーとタスクをすばやく定義してリンクしたり、作業負荷を分散させたりすることができます。

メモメモ
アジャイル プロセス用にカスタマイズされたテンプレートや、要件を満たすようにカスタマイズされたテンプレートを使用することもできます。

プロジェクト マッピング

/workItemTypes:”User Story”

エンタープライズ プロジェクト計画をチーム プロジェクトにマップするときに、作業項目の種類としてユーザー ストーリーを指定します。 また、タスクの作業時間固定を許可しないようにすることもできます。 作業時間固定は、Project で使用できる 3 つあるタスクの種類の 1 つです。 詳細については、「Project がタスク期間の計算に使用するタスクの種類を変更する」を参照してください。

フィールド マップ

/useDefaultFieldMappings

既定のフィールド マップを使用できます。 他のフィールド マップは必要ありません。

リソース名

PWA の各インスタンスのチーム メンバー グループにチーム メンバーを追加するか、[プロジェクト] で、これらのメンバーに [プロジェクトを開く] および [プロジェクト サイトの表示] アクセス許可を付与する必要があります。 詳細については、「Team Foundation のメンバーをチーム メンバー グループに追加するには」を参照してください。

また、Project Server のエンタープライズ リソース共有元およびエンタープライズ プロジェクト計画のリソース共有元に、すべてのチーム リーダーと他のチーム メンバーを追加する必要があります。

プロジェクト計画のリソースとして割り当てられたか、または作業項目の "担当者" フィールドで名前が指定されたすべてのユーザー アカウントにアクセス許可を付与する必要があります。 これらのユーザーはステータスの更新を送信し、更新は PWA のインスタンスのステータス キューに入れられます。

"リソース名" フィールドに割り当てられているすべての名前がチーム プロジェクトの有効な共同作成者として認識される必要があります。

プロジェクト マネージャー

Project Professional のユーザーのアカウントは、[プロジェクトレベル情報を表示します] を付与するか、発行されるチーム プロジェクトの Team Foundation の Reader グループのメンバーとして割り当てる必要があります。

エンタープライズ プロジェクト計画にマップされているチーム プロジェクトの作業項目を変更するには、プロジェクト マネージャーのアクセス許可を付与する必要があります。

自動承認

Team Foundation Server から Project Server に送信されるすべての更新を自動的に承認する規則を定義します。

プロジェクト マネージャーは、PWA のインスタンスを使用して、プロジェクト計画の承認規則を定義できます。 詳細については、「タスクの更新情報を承認または却下する」を参照してください。

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アジャイル開発チームのタスクとベスト プラクティス

チーム リーダーは、イテレーション バックログ ブックと製品バックログ ブックを使用して、次のタスクを実行できます。

  • ユーザー ストーリーとタスクの定義

  • イテレーションの計画

  • Project Server へのユーザー ストーリーの送信

  • 残存作業および実績作業の更新

これらのブックは、MSF for Agile Software Development v5.0 のプロセス テンプレートを使用してチーム プロジェクトを作成する場合に利用できます。 詳細については、「ブック (アジャイル)」を参照してください。

ユーザー ストーリーとタスクの定義

イテレーション バックログ ブックを使用して、イテレーションの作業を計画し、追跡できます。 このブックでは、タスクに定義されている見積もり工数と残りの工数に基づいて、チームのキャパシティとバーンダウンを計算します。 既定のブックには、作業の計画、チームの最大利用可能時間の計算、およびイテレーションのバーンダウンの視覚化に使用できる 5 種類のワークシートが用意されています。 詳細については、「イテレーション バックログ ブック」および「作業項目のツリー リストの使用によるトップダウン プランニングの実行 (Excel)」を参照してください。

次の図に示すように、[イテレーション バックログ] ワークシートを使用して、ユーザー ストーリーおよびユーザー ストーリーを実装するために必要なタスクを定義できます。 このワークシートを使用すると、タスクがユーザー ストーリーに自動的にリンクされます。 この関連付けは、すべてのタスクからユーザー ストーリーへの作業時間のロールアップをサポートします。

イテレーション バックログ アジャイル計画

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イテレーションの計画

次の図に示すように、[キャパシティ] ワークシートを使用すると、チーム リソース全体で作業負荷を分散させることができます。

注意

作業負荷を分散する前に、各タスクの "イテレーション パス""残存作業""実績作業" の各フィールドに値が割り当てられていることを確認します。 また、各チーム メンバーとチームの休業日が [割り込み] ワークシートに指定されていることも確認します。

キャパシティの負荷分散

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Project Server へのユーザー ストーリーの送信

チーム リーダーは、ユーザー ストーリーを PMO にいつ送信するかを決定します。 次の図に示すように、製品バックログ ブックを使用して、チームが実装することを計画しているイテレーションのユーザー ストーリーの発行ステータスを設定できます。 Excel にエクスポートする前にクエリ リストで [列のオプション] をクリックするか、Excel で [列の選択] をクリックすることで、"Project Server Submit" フィールドをリストに追加できます。 [Project Server Submit] のステータスを [はい] に設定し、ブックを発行すると、エンタープライズ プロジェクト計画にユーザー ストーリーが追加されます。

送信するユーザー ストーリーを使用した製品バックログ

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残存作業および実績作業の更新

次の図に示すように、イテレーション計画ブックを使用して、各タスクの "残存作業" フィールドと "実績作業" フィールドを更新できます。

作業に対する更新を使用したイテレーション バックログ

チーム メンバーは、チーム エクスプローラーまたは Team System Web Access でタスクの作業項目フォームを使用して、作業を更新することもできます。

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PMO のタスクとベスト プラクティス

プログラム オフィスのメンバーは、次のアクティビティを実行することで、アジャイル開発チームが実行中の作業を監視できます。

  • ユーザー ストーリーの確認、およびプロジェクト スケジュールの計画

  • 計画の進行状況の確認

  • プロジェクト ポートフォリオの進行状況の確認

さらに、リソースへの作業の割り当てを参照することもできます。 詳細については、「チーム プロジェクトにマップされているエンタープライズ プロジェクトにおけるリソース ロールアップの操作」を参照してください。

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ユーザー ストーリーの確認、およびプロジェクト スケジュールの計画

Project Server に新しいユーザー ストーリーが送信されると、エンタープライズ プロジェクト計画に自動的に表示されます。 次の図に示すように、「Project Server へのユーザー ストーリーの送信」でアジャイル チームが送信した 3 つのユーザー ストーリーがプロジェクト計画に追加されています。

プロジェクト計画に追加されたユーザー ストーリー

これらのストーリーをグループ化して、計画ビューをサポートできます。 次の図に示すように、計画の "イテレーション 1" で発生するように 3 つのユーザー ストーリーが移動されています。 この 3 つのユーザー ストーリーのロールアップを確認できます。この例では、イテレーション 1 のストーリーの実装に 10 日を要します。

イテレーションに追加されたユーザー ストーリー

重要

Text30 は、タスクを作業項目と同期する際に使用される [作業項目の種類] 列に関連付けられている Project の既定のフィールドです。 Team リボン メニューの [チーム プロジェクトの選択] を使用して、プロジェクト計画を Team Foundation Server に接続すると、[作業項目の種類] というラベルが付いた Project の追加フィールドを選択できるようになります。 Project の既定のフィールド Text24 を持つこのフィールドは、Team Foundation にバインドされたプロジェクト計画のマッピングをサポートしていますが、計画の同期はサポートしていません。 Text24 ベースのフィールドには、チーム プロジェクトの作業項目の種類の完全なリストが含まれます。 適切なフィールドを使用していることを確認するには、フィールドをポイントし、Text30 が表示されるかどうかを確認します。

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計画の進行状況の確認

開発チームのメンバーがタスクの作業量を更新すると、この情報がプロジェクト計画に自動的にフローされます。 次の図に示すように、最初の 2 つのストーリーでは作業が完了しているので、チームは残された 3 番目のストーリーだけを完了する必要があります。

ヒント

計画の更新を表示するために、計画を閉じて再度開くことが必要な場合があります。

アジャイル計画の更新を使用したプロジェクト計画

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プロジェクト ポートフォリオの進行状況の確認

PWA に用意されたプロジェクト センター ビューを使用して、PMO と共にプロジェクトのポートフォリオの進行状況を確認できます。 次の図に示すように、複数のアジャイル開発プロジェクトの進行状況を容易に追跡できます。

アジャイル計画の更新を使用したプロジェクト ポートフォリオ

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参照

その他の技術情報

妥当性確認エラーの解決

Managing Projects Using Project Professional Mapped to a Team Project