バックトラッキングは、正規表現パターンに省略可能な量指定子または代替構成体が含まれている場合に発生します。この場合、正規表現エンジンは、一致の検索を継続するために、以前に保存した状態に戻ります。 バックトラッキングは、正規表現を強力にするための中心的な機能で、これにより、非常に複雑なパターンを照合できる強力かつ柔軟な正規表現を作成できるようになります。 その一方で、バックトラッキングにはマイナス面もあり、 多くの場合、正規表現エンジンのパフォーマンスを左右する最大の要因になります。 さいわい、正規表現エンジンの動作とバックトラッキングの使用方法は開発者が制御できます。 ここでは、バックトラッキングの動作のしくみと、バックトラッキングを制御する方法について説明します。
![]() |
---|
一般に、.NET Framework の正規表現エンジンのような非決定性有限オートマトン (NFA: Nondeterministic Finite Automaton) エンジンでは、効率的かつ高速な正規表現を作成する責任は開発者にあります。 |
このトピックは、次のセクションで構成されています。
バックトラッキングを使用しない直線的な比較
省略可能な量指定子または代替構成体によるバックトラッキング
入れ子になった省略可能な量指定子によるバックトラッキング
バックトラッキングの制御
バックトラッキングを使用しない直線的な比較
正規表現パターンに省略可能な量指定子や代替構成体が含まれていない場合、正規表現エンジンは線形時間で実行されます。 つまり、パターンの最初の言語要素を入力文字列のテキストと照合し、パターンの次の言語要素を入力文字列の次の文字または文字グループと照合するという操作が、 照合が最終的に成功または失敗するまで繰り返されます。 いずれの場合も、正規表現エンジンは入力文字列内を 1 文字ずつ進みます。
具体的な例を次に示します。 正規表現 e{2}\w\b は、文字 "e" が 2 回出現した後に任意の単語文字とワード境界が続くパターンを検索します。
Imports System.Text.RegularExpressions
Module Example
Public Sub Main()
Dim input As String = "needing a reed"
Dim pattern As String = "e{2}\w\b"
For Each match As Match In Regex.Matches(input, pattern)
Console.WriteLine("{0} found at position {1}", _
match.Value, match.Index)
Next
End Sub
End Module
' The example displays the following output:
' eed found at position 11
using System;
using System.Text.RegularExpressions;
public class Example
{
public static void Main()
{
string input = "needing a reed";
string pattern = @"e{2}\w\b";
foreach (Match match in Regex.Matches(input, pattern))
Console.WriteLine("{0} found at position {1}",
match.Value, match.Index);
}
}
// The example displays the following output:
// eed found at position 11
この正規表現には量指定子 {2} が含まれていますが、この量指定子は直線的に評価されます。 正規表現エンジンがバックトラックしないのは、{2} が省略可能な量指定子ではないからです。この量指定子は、前の部分式が一致する必要がある正確な回数 (変動する回数ではなく) を指定しています。 結果として、正規表現エンジンは、次の表に示すような方法でこの正規表現パターンを入力文字列と照合します。
操作 |
パターン内の位置 |
文字列内の位置 |
結果 |
---|---|---|---|
1 |
e |
needing a reed (インデックス 0) |
一致なし。 |
2 |
e |
eeding a reed (インデックス 1) |
一致候補。 |
3 |
e{2} |
eding a reed (インデックス 2) |
一致候補。 |
4 |
\w |
ding a reed (インデックス 3) |
一致候補。 |
5 |
\b |
ing a reed (インデックス 4) |
一致候補の失敗。 |
6 |
e |
ing a reed (インデックス 5) |
一致なし。 |
7 |
e |
ng a reed (インデックス 6) |
一致なし。 |
8 |
e |
g a reed (インデックス 7) |
一致なし。 |
9 |
e |
a reed (インデックス 8) |
一致なし。 |
10 |
e |
a reed (インデックス 9) |
一致なし。 |
11 |
e |
reed (インデックス 10) |
一致なし。 |
12 |
e |
reed (インデックス 11) |
一致なし。 |
13 |
e |
eed (インデックス 12) |
一致候補。 |
14 |
e{2} |
ed (インデックス 13) |
一致候補。 |
15 |
\w |
d (インデックス 14) |
一致候補。 |
16 |
\b |
(インデックス 15) |
一致。 |
正規表現パターンに省略可能な量指定子や代替構成体が含まれていない場合、正規表現パターンと入力文字列の照合に必要な比較の最大数は、入力文字列の文字数にほぼ等しくなります。 つまり、正規表現エンジンは、省略可能な量指定子や代替構成体が含まれていない場合には線形時間で実行されます。
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省略可能な量指定子または代替構成体によるバックトラッキング
正規表現に省略可能な量指定子または代替構成体が含まれている場合、入力文字列の評価は直線的ではなくなります。 NFA エンジンによるパターン一致の動作は、照合する入力文字列内の文字ではなく、正規表現内の言語要素によって決まります。 したがって、正規表現エンジンは、省略可能な部分式や代替の部分式を完全に照合しようとします。 部分式内の次の言語要素に進んで照合が失敗した場合は、正規表現全体を入力文字列と照合するために、それまでに見つかった部分的な一致を放棄して、以前に保存した状態に戻ることもあります。 このように、一致を見つけるために以前に保存した状態に戻るプロセスを、バックトラッキングと呼びます。
例として、.*(es) という正規表現パターンについて見てみましょう。この正規表現パターンは、文字 "es" と、それに先行するすべての文字に一致します。 次の例に示すように、入力文字列が "Essential services are provided by regular expressions." の場合、このパターンは、"expressions" の "es" までの文字列全体に一致します。
Imports System.Text.RegularExpressions
Module Example
Public Sub Main()
Dim input As String = "Essential services are provided by regular expressions."
Dim pattern As String = ".*(es)"
Dim m As Match = Regex.Match(input, pattern, RegexOptions.IgnoreCase)
If m.Success Then
Console.WriteLine("'{0}' found at position {1}", _
m.Value, m.Index)
Console.WriteLine("'es' found at position {0}", _
m.Groups(1).Index)
End If
End Sub
End Module
' 'Essential services are provided by regular expres' found at position 0
' 'es' found at position 47
using System;
using System.Text.RegularExpressions;
public class Example
{
public static void Main()
{
string input = "Essential services are provided by regular expressions.";
string pattern = ".*(es)";
Match m = Regex.Match(input, pattern, RegexOptions.IgnoreCase);
if (m.Success) {
Console.WriteLine("'{0}' found at position {1}",
m.Value, m.Index);
Console.WriteLine("'es' found at position {0}",
m.Groups[1].Index);
}
}
}
// 'Essential services are provided by regular expres' found at position 0
// 'es' found at position 47
この場合、正規表現エンジンでは次のようにバックトラッキングが使用されます。
.* (任意の文字の 0 回以上の出現に一致します) を入力文字列全体と照合します。
正規表現パターンの "e" との照合を試みますが、 入力文字列にはもう照合する文字がありません。
最後に成功した照合 ("Essential services are provided by regular expressions.") にバックトラックして、"e" を文末のピリオドと照合します。 照合に失敗します。
成功した前の照合へのバックトラッキングを一度に 1 文字ずつ繰り返して、暫定的に一致する部分文字列 "Essential services are provided by regular expr" に到達します。 その後、パターンの "e" を "expressions" の 2 つ目の "e" と比較して、一致を見つけます。
パターンの "s" を、一致した文字 "e" の後の "s" ("expressions" の 1 つ目の "s") と比較します。 照合に成功します。
バックトラッキングを使用した場合、この正規表現パターンを 55 文字の入力文字列と照合するのに 67 回の比較操作が必要になります。 興味深いことに、この正規表現パターンに最短一致の量指定子 .*?(es) が含まれていた場合は、照合に必要な比較が増加します。 この場合、正規表現エンジンは、文字列の末尾から "expressions" の "r" までではなく、文字列の先頭までバックトラックして "Es" を見つけなければなりません。その結果、113 回の比較が必要になります。 一般に、正規表現パターンに 1 つの代替構成体または省略可能な量指定子が含まれている場合、パターンの照合に必要な比較操作の回数は入力文字列の文字数の 2 倍以上になります。
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入れ子になった省略可能な量指定子によるバックトラッキング
パターンに多数の代替構成体、入れ子になった代替構成体、または (最もよくあるケースとして) 入れ子になった省略可能な量指定子が含まれていると、正規表現パターンの照合に必要な比較操作の回数は指数関数的に増加する可能性があります。 例として、1 つ以上の文字 "a" から成る文字列全体に一致するように作られた ^(a+)+$ という正規表現パターンについて見てみましょう。 次の例では、同じ長さの 2 つの入力文字列が渡されていますが、パターンに一致するのは 1 つ目の文字列だけです。 System.Diagnostics.Stopwatch クラスは、照合操作にかかる時間を調べるために使用されています。
Imports System.Diagnostics
Imports System.Text.RegularExpressions
Module Example
Public Sub Main()
Dim pattern As String = "^(a+)+$"
Dim inputs() As String = { "aaaaaa", "aaaaa!" }
Dim rgx As New Regex(pattern)
Dim sw As Stopwatch
For Each input As String In inputs
sw = Stopwatch.StartNew()
Dim match As Match = rgx.Match(input)
sw.Stop()
If match.Success Then
Console.WriteLine("Matched {0} in {1}", match.Value, sw.Elapsed)
Else
Console.WriteLine("No match found in {0}", sw.Elapsed)
End If
Next
End Sub
End Module
using System;
using System.Diagnostics;
using System.Text.RegularExpressions;
public class Example
{
public static void Main()
{
string pattern = "^(a+)+$";
string[] inputs = { "aaaaaa", "aaaaa!" };
Regex rgx = new Regex(pattern);
Stopwatch sw;
foreach (string input in inputs) {
sw = Stopwatch.StartNew();
Match match = rgx.Match(input);
sw.Stop();
if (match.Success)
Console.WriteLine("Matched {0} in {1}", match.Value, sw.Elapsed);
else
Console.WriteLine("No match found in {0}", sw.Elapsed);
}
}
}
出力を見るとわかるように、入力文字列がパターンに一致しない場合の処理時間は一致する場合の約 2 倍になります。 これは、照合の失敗は常に最悪のシナリオに相当するためです。 正規表現エンジンは、照合の失敗という結論に到達するまでに、正規表現を使用してデータのすべての可能なパスを辿らなければなりません。かっこが入れ子になっていると、データのパスは大幅に増加します。 2 つ目の文字列がパターンに一致しないという結論に到達するまでに正規表現エンジンによって行われる操作を以下に示します。
文字列の先頭にいることを確認し、文字列の最初の 5 文字をパターン a+ と照合します。 次に、文字 "a" のグループが文字列内にそれ以上ないことを特定します。 最後に、文字列の終わりをテストします。 文字列にまだ文字が 1 文字残っているため、照合は失敗します。 この照合の失敗に必要な比較は 9 回です。 正規表現エンジンは、"a" (以降は照合 1 と呼びます)、"aa" (照合 2)、"aaa" (照合 3)、および "aaaa" (照合 4) の各照合の状態情報を保存します。
以前に保存した照合 4 に戻ります。 追加のキャプチャ グループに割り当てる必要がある文字 "a" があと 1 つあることを特定します。 最後に、文字列の終わりをテストします。 文字列にまだ文字が 1 文字残っているため、照合は失敗します。 この照合の失敗に必要な比較は 4 回です。 これまでに実行された比較は合計 13 回になります。
以前に保存した照合 3 に戻ります。 追加のキャプチャ グループに割り当てる必要がある文字 "a" があと 2 つあることを特定しますが、 文字列の終わりのテストに失敗します。 その後、照合 3 に戻り、2 つの追加のキャプチャ グループの 2 つの追加の文字 "a" を照合しようとしますが、 ここでも文字列の終わりのテストに失敗します。 これらの照合の失敗に必要な比較は 12 回です。 これまでに実行された比較は合計 25 回になります。
このようにして、正規表現エンジンがすべての可能な一致の組み合わせを試行し終わるまで入力文字列と正規表現の比較が続けられます。一致しないという結論に到達するのはその後です。 この比較は、入れ子になった量指定子があるため、O(2n) (指数演算、n は入力文字列の文字数) です。 そのため、最悪のケースでは、30 文字の入力文字列で約 1,073,741,824 回、40 文字の入力文字列では約 1,099,511,627,776 回の比較が必要になります。 使用する文字列の長さがこのレベル以上になると、正規表現パターンに一致しない入力を処理するときに、正規表現メソッドの完了までに膨大な時間がかかる可能性があります。
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バックトラッキングの制御
バックトラッキングを使用すると、強力かつ柔軟な正規表現を作成できますが、 前のセクションで見たように、受け入れられないほどのパフォーマンスの低下が伴うことがあります。 .NET Framework では、バックトラッキングを制限または抑制する 3 つの正規表現言語要素がサポートされています。これらを使用すると、パフォーマンスをほとんど低下させずに複雑な正規表現を使用できます。それらの言語要素とは、非バックトラッキング部分式、後読みアサーション、および先読みアサーションです。 各言語要素の詳細については、「グループ化構成体」を参照してください。
非バックトラッキング部分式
(?> subexpression) 言語要素を使用すると、部分式でバックトラッキングが行われないようにすることができます。 これは、照合の失敗に関連するパフォーマンスの問題の防止に役立ちます。
次の例は、入れ子になった量指定子を使用している場合にバックトラッキングを抑制すると、いかにパフォーマンスが向上するかを示しています。 この例では、入力文字列が 2 つの正規表現に一致しないことが正規表現エンジンによって確認されるまでの時間を測定しています。 1 つ目の正規表現は、1 つ以上の 16 進数、コロン、1 つ以上の 16 進数、2 つのコロンというパターンを 1 つ以上含む文字列を、バックトラッキングを使用して照合します。 2 つ目の正規表現は、バックトラッキングを無効にする以外は 1 つ目と同じです。 出力を見るとわかるように、バックトラッキングを無効にするとパフォーマンスが大幅に向上します。
Imports System.Diagnostics
Imports System.Text.RegularExpressions
Module Example
Public Sub Main()
Dim input As String = "b51:4:1DB:9EE1:5:27d60:f44:D4:cd:E:5:0A5:4a:D24:41Ad:"
Dim matched As Boolean
Dim sw As Stopwatch
Console.WriteLine("With backtracking:")
Dim backPattern As String = "^(([0-9a-fA-F]{1,4}:)*([0-9a-fA-F]{1,4}))*(::)$"
sw = Stopwatch.StartNew()
matched = Regex.IsMatch(input, backPattern)
sw.Stop()
Console.WriteLine("Match: {0} in {1}", Regex.IsMatch(input, backPattern), sw.Elapsed)
Console.WriteLine()
Console.WriteLine("Without backtracking:")
Dim noBackPattern As String = "^((?>[0-9a-fA-F]{1,4}:)*(?>[0-9a-fA-F]{1,4}))*(::)$"
sw = Stopwatch.StartNew()
matched = Regex.IsMatch(input, noBackPattern)
sw.Stop()
Console.WriteLine("Match: {0} in {1}", Regex.IsMatch(input, noBackPattern), sw.Elapsed)
End Sub
End Module
' The example displays the following output:
' With backtracking:
' Match: False in 00:00:27.4282019
'
' Without backtracking:
' Match: False in 00:00:00.0001391
using System;
using System.Diagnostics;
using System.Text.RegularExpressions;
public class Example
{
public static void Main()
{
string input = "b51:4:1DB:9EE1:5:27d60:f44:D4:cd:E:5:0A5:4a:D24:41Ad:";
bool matched;
Stopwatch sw;
Console.WriteLine("With backtracking:");
string backPattern = "^(([0-9a-fA-F]{1,4}:)*([0-9a-fA-F]{1,4}))*(::)$";
sw = Stopwatch.StartNew();
matched = Regex.IsMatch(input, backPattern);
sw.Stop();
Console.WriteLine("Match: {0} in {1}", Regex.IsMatch(input, backPattern), sw.Elapsed);
Console.WriteLine();
Console.WriteLine("Without backtracking:");
string noBackPattern = "^((?>[0-9a-fA-F]{1,4}:)*(?>[0-9a-fA-F]{1,4}))*(::)$";
sw = Stopwatch.StartNew();
matched = Regex.IsMatch(input, noBackPattern);
sw.Stop();
Console.WriteLine("Match: {0} in {1}", Regex.IsMatch(input, noBackPattern), sw.Elapsed);
}
}
// The example displays output like the following:
// With backtracking:
// Match: False in 00:00:27.4282019
//
// Without backtracking:
// Match: False in 00:00:00.0001391
後読みアサーション
.NET Framework には、入力文字列内の前の文字を照合する 2 つの言語要素 ((?<=subexpression) と (?<!subexpression)) が含まれています。 これらの言語要素は、どちらもゼロ幅アサーションです。つまり、現在の文字の直前にある文字が subexpression に一致するかどうかを、前進もバックトラッキングも行わずに確認します。
(?<=subexpression) は肯定後読みアサーションで、現在の位置の前にある文字が subexpression に一致する必要があります。 (?<!subexpression) は否定後読みアサーションで、現在の位置の前にある文字が subexpression に一致しない必要があります。 どちらの後読みアサーションも、subexpression が前の部分式のサブセットである場合に特に役立ちます。
次の例では、電子メール アドレスのユーザー名を検証する 2 つの同等の正規表現パターンが使用されています。 1 つ目のパターンでは、過度なバックトラッキングのためにパフォーマンスが低下します。 2 つ目のパターンでは、1 つ目の正規表現に変更を加えて、入れ子になった量指定子を肯定後読みアサーションに置き換えています。 この例の出力には、Regex.IsMatch メソッドの実行時間が表示されます。
Module Example
Public Sub Main()
Dim sw As Stopwatch
Dim input As String = "aaaaaaaaaaaaaaaaaaaa"
Dim result As Boolean
Dim pattern As String = "^[0-9A-Z]([-.\w]*[0-9A-Z])?@"
sw = Stopwatch.StartNew()
result = Regex.IsMatch(input, pattern, RegexOptions.IgnoreCase)
sw.Stop()
Console.WriteLine("Match: {0} in {1}", result, sw.Elapsed)
Dim behindPattern As String = "^[0-9A-Z][-.\w]*(?<=[0-9A-Z])@"
sw = Stopwatch.StartNew()
result = Regex.IsMatch(input, behindPattern, RegexOptions.IgnoreCase)
sw.Stop()
Console.WriteLine("Match with Lookbehind: {0} in {1}", result, sw.Elapsed)
End Sub
End Module
' The example displays the following output:
' Match: True in 00:00:00.0017549
' Match with Lookbehind: True in 00:00:00.0000659
using System;
using System.Diagnostics;
using System.Text.RegularExpressions;
public class Example
{
public static void Main()
{
Stopwatch sw;
string input = "aaaaaaaaaaaaaaaaaaaa";
bool result;
string pattern = @"^[0-9A-Z]([-.\w]*[0-9A-Z])?@";
sw = Stopwatch.StartNew();
result = Regex.IsMatch(input, pattern, RegexOptions.IgnoreCase);
sw.Stop();
Console.WriteLine("Match: {0} in {1}", result, sw.Elapsed);
string behindPattern = @"^[0-9A-Z][-.\w]*(?<=[0-9A-Z])@";
sw = Stopwatch.StartNew();
result = Regex.IsMatch(input, behindPattern, RegexOptions.IgnoreCase);
sw.Stop();
Console.WriteLine("Match with Lookbehind: {0} in {1}", result, sw.Elapsed);
}
}
// The example displays the following output:
// Match: True in 00:00:00.0017549
// Match with Lookbehind: True in 00:00:00.0000659
1 つ目の正規表現パターン ^[0-9A-Z]([-.\w]*[0-9A-Z])*@ は、次の表に示すように定義されています。
パターン |
説明 |
---|---|
^ |
文字列の先頭から照合を開始します。 |
[0-9A-Z] |
英数字 1 文字に一致します。 Regex.IsMatch メソッドが RegexOptions.IgnoreCase オプションを使用して呼び出されているため、この比較では大文字と小文字が区別されません。 |
[-. \w]* |
ハイフン、ピリオド、または単語文字の 0 回以上の出現に一致します。 |
[0-9A-Z] |
英数字 1 文字に一致します。 |
([-. \w]*[0-9A-Z])* |
0 個以上のハイフン、ピリオド、または単語文字の後に英数字が続く組み合わせの 0 回以上の出現に一致します。 これが最初のキャプチャ グループです。 |
@ |
アット マーク ("@") に一致します。 |
2 つ目の正規表現パターン ^[0-9A-Z][-.\w]*(?<=[0-9A-Z])@ では、肯定後読みアサーションが使用されています。 このパターンは、次の表に示すように定義されています。
パターン |
説明 |
---|---|
^ |
文字列の先頭から照合を開始します。 |
[0-9A-Z] |
英数字 1 文字に一致します。 Regex.IsMatch メソッドが RegexOptions.IgnoreCase オプションを使用して呼び出されているため、この比較では大文字と小文字が区別されません。 |
[-. \w]* |
ハイフン、ピリオド、または単語文字の 0 回以上の出現と一致します。 |
(?<=[0-9A-Z]) |
最後に照合された文字を後読みして、英数字だった場合は照合を継続します。 英数字は、ピリオド、ハイフン、およびすべての単語文字から成るセットのサブセットです。 |
@ |
アット マーク ("@") に一致します。 |
先読みアサーション
.NET Framework には、入力文字列内の次の文字を照合する 2 つの言語要素 ((?=subexpression) と (?!subexpression)) が含まれています。 これらの言語要素は、どちらもゼロ幅アサーションです。つまり、現在の文字の直後にある文字が subexpression に一致するかどうかを、前進もバックトラッキングも行わずに確認します。
(?=subexpression) は肯定先読みアサーションで、現在の位置の後にある文字が subexpression に一致する必要があります。 (?!subexpression) は否定先読みアサーションで、現在の位置の後にある文字が subexpression に一致しない必要があります。 どちらの先読みアサーションも、subexpression が次の部分式のサブセットである場合に特に役立ちます。
次の例では、完全修飾型名を検証する 2 つの同等の正規表現パターンが使用されています。 1 つ目のパターンでは、過度なバックトラッキングのためにパフォーマンスが低下します。 2 つ目のパターンでは、1 つ目の正規表現に変更を加えて、入れ子になった量指定子を肯定先読みアサーションに置き換えています。 この例の出力には、Regex.IsMatch メソッドの実行時間が表示されます。
Imports System.Diagnostics
Imports System.Text.RegularExpressions
Module Example
Public Sub Main()
Dim input As String = "aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa."
Dim result As Boolean
Dim sw As Stopwatch
Dim pattern As String = "^(([A-Z]\w*)+\.)*[A-Z]\w*$"
sw = Stopwatch.StartNew()
result = Regex.IsMatch(input, pattern, RegexOptions.IgnoreCase)
sw.Stop()
Console.WriteLine("{0} in {1}", result, sw.Elapsed)
Dim aheadPattern As String = "^((?=[A-Z])\w+\.)*[A-Z]\w*$"
sw = Stopwatch.StartNew()
result = Regex.IsMatch(input, aheadPattern, RegexOptions.IgnoreCase)
sw.Stop()
Console.WriteLine("{0} in {1}", result, sw.Elapsed)
End Sub
End Module
' The example displays the following output:
' False in 00:00:03.8003793
' False in 00:00:00.0000866
using System;
using System.Diagnostics;
using System.Text.RegularExpressions;
public class Example
{
public static void Main()
{
string input = "aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa.";
bool result;
Stopwatch sw;
string pattern = @"^(([A-Z]\w*)+\.)*[A-Z]\w*$";
sw = Stopwatch.StartNew();
result = Regex.IsMatch(input, pattern, RegexOptions.IgnoreCase);
sw.Stop();
Console.WriteLine("{0} in {1}", result, sw.Elapsed);
string aheadPattern = @"^((?=[A-Z])\w+\.)*[A-Z]\w*$";
sw = Stopwatch.StartNew();
result = Regex.IsMatch(input, aheadPattern, RegexOptions.IgnoreCase);
sw.Stop();
Console.WriteLine("{0} in {1}", result, sw.Elapsed);
}
}
// The example displays the following output:
// False in 00:00:03.8003793
// False in 00:00:00.0000866
1 つ目の正規表現パターン ^(([A-Z]\w*)+\.)*[A-Z]\w*$ は、次の表に示すように定義されています。
パターン |
説明 |
---|---|
^ |
文字列の先頭から照合を開始します。 |
([A-Z]\w*)+\. |
1 個の英文字 (A-Z) の後に 0 個以上の単語文字が続くパターンの 1 回以上の繰り返しの後にピリオドが続くパターンに一致します。 Regex.IsMatch メソッドが RegexOptions.IgnoreCase オプションを使用して呼び出されているため、この比較では大文字と小文字が区別されません。 |
(([A-Z]\w*)+\.)* |
前のパターンの 0 回以上の繰り返しに一致します。 |
[A-Z]\w* |
1 個の英文字の後に 0 個以上の単語文字が続くパターンに一致します。 |
$ |
入力文字列の末尾で照合を終了します。 |
2 つ目の正規表現パターン ^((?=[A-Z])\w+\.)*[A-Z]\w*$ では、肯定先読みアサーションが使用されています。 このパターンは、次の表に示すように定義されています。
パターン |
説明 |
---|---|
^ |
文字列の先頭から照合を開始します。 |
(?=[A-Z]) |
先頭の文字を先読みして、英文字 (A-Z) だった場合は照合を継続します。 Regex.IsMatch メソッドが RegexOptions.IgnoreCase オプションを使用して呼び出されているため、この比較では大文字と小文字が区別されません。 |
\w+\. |
1 個以上の単語文字の後にピリオドが続くパターンに一致します。 |
((?=[A-Z])\w+\.)* |
1 個以上の単語文字の後にピリオドが続くパターンの 0 回以上の繰り返しと一致します。 最初の単語文字は英文字でなければなりません。 |
[A-Z]\w* |
1 個の英文字の後に 0 個以上の単語文字が続くパターンに一致します。 |
$ |
入力文字列の末尾で照合を終了します。 |
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